南アメリカ、ラケール近辺で勃発した「Project Destroy事件」より一週間と四日が過ぎていた。

 今日も天気は良かった。
 南アメリカ、ラケール。

 ルーウィンはフィエナの家に住んでいた。
 テレビを見ている。

「こちらは地球連合軍高雄基地前です。先日の連合軍開発の新型MSの暴走は現在、沈静しています。事態を重く見た高雄基地は……」

 テレビを消した。
 フィエナが姿を現わした。

「あの、行きましょう」

 ルーウィンは椅子から立つと、フィエナを支え車に乗った。
 車といっても彼がザフトを抜けたときにファンダル基地から送られたジープ。
 その助手席にフィエナを乗せ、エンジンをかけた。

 今日、ルーウィンはフィエナを海に連れて行く予定なのだ。
 南アメリカの海岸は綺麗だと、パンフレットには書いてある。

「楽しみです、私。海なんて行った事無いですから……」

「俺も久しく行って無いさ。かれこれ6年か7年くらいか……」

 海に着いたら何をしよう。
 泳ごうか。
 それともフィエナと話そうか。

 ふと空を見た。
 そこには戦闘機が飛んでいた。
 自分が一番知っている、あの戦闘機、いやMSが。

「お前も、頑張れよ……ストーム」

 ジープのスピードを上げた。
 ルーウィンは、今が一番幸せだった。


***


 人を好きになるということ。
 大切な人と一緒にいるということ。

 この戦火の世界で見失われがちである。
 だけど、それは海よりも深く尊いもの。

 それを見つけたとき、人は何倍も強くなれる。
 そういうものだ、人間は。

(Eplogue  完)

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