第二十四章 飛べ戦士よ、その翼を広げて

 パナマが陥落した。
 皆が深い絶望感に襲われ、地球軍は負けたと思っていた。
 更にヴェルド達傭兵部隊「カラーズ」の戦死。
 これは大きなショックとして心に残った。
 それでも朝はやってくる。
 朝日が昇り、世界を照らす。
「状況は?」
「レーダー使えませんよ?」
「ああ、そうだったな・・・。つい癖で」
 ファイナリィは太平洋上にいた。
 その身を潜めるでもなく、世間より離隔された孤島のように。
 格納庫。
 アストは誰よりも早起きをしていた。
 その手には設計図らしき紙が握られている。
 設計図はアストが寝る間も惜しんで作った設計図。
 これには彼の機体であるディグニティの換装パーツ「パルセーション・システム」用のパーツの図面が描かれている。
 ディグニティのスペックはこれらのパーツを装備して初めて発揮される。
 元々第十四機動隊で作られたディグニティだが、その時同時に「パルセーション・システム」用のパーツも作られようとしていた。
 しかし戦局が傾き始めたので、先にディグニティだけがロールアウトを迎えた。
 が、第十四機動隊は壊滅し、システム用のパーツが作られる事はなかった。
 そこでアストは月面ノースブレイド基地に行くと言う事をリエンから全クルーに告げられ、そこならば資材もあるだろうと言う事でこの設計図を描いた。
「さて、ディグニティのOSを合わせておかなくちゃな」
 パーツを搭載するので重量が増加する。
 そのためスラスターやバッテリー容量などを全て変えなくちゃならない。
 眠い目をこすりながらキーボードをたたく。
 それから一時間後、他のメンバーも起きてきた。
 今のところ敵は感知されていない。
 それは良い事だ。
 宇宙へ行くのにファイナリィはアークエンジェルのように補助ブースターを取り付けると言う事できない。
 その代わり全ての電力、エネルギーをブースターにまわし、ギガノフリートの威力を最大出力にすればローエングリンと同じになり、ポジトロニック・インターフィアランスを起こす事ができる。
 大気圏外へ出るためには極力エネルギーを消費せずにいる事が大前提。
 そのため、今の艦内は電気を止められ、エネルギーを使用する事ができない。
 敵がもし襲い掛かってきたら戦う事ができない。
 MSを発進させる事くらいはできる。
 いわば今のファイナリィは眠っているも同然。
 そこでMSが定期的に発進して辺りの様子を伺う。
 最初に出るのはデュライドのヴァイオレント。
 なるべくならば飛行可能なMSのほうが索敵に向いている。
 索敵なのでPS装甲はオフにしてある。
 二十分。
 それは一機が索敵で出撃する時間。
 ヴァイオレントが着艦する。
 次にフリーダムが出る。
 こうして敵機の索敵を行っている。
 今のところ敵影は確認されていないため、安心していいといえる。
 だが、ファイナリィの周りはどこを見ても敵だらけと言える。
 空から、海から。
 やつらはどこからでも攻めてこれる。
 これは大きなハンディだ。
 皆が不安な気持ちになる。
 いつ、攻められるのか。
 そして、何時死ぬのか。

 パリからワイバーンが発進した。
 目標はもちろんファイナリィ。
 ここでファイナリィを落とせば地球軍に勝ったも同然。
 低空飛行で進むワイバーン。
 そのワイバーンのブリーフィングルームではハイウェルによる作戦会議が開かれていた。
 ワイバーンではファイナリィの位置を捕らえかけていた
 それはパナマが陥落した時にファイナリィが脱出した航路から推測したものだが、効果はある。
 作戦会議が終了し、MSパイロットは格納庫にて待機という命令を出された。
 格納庫に向かう途中で、グリーテスはゼロを捕まえた。
 そして廊下の隅に寄せ、小声でこう言った。
「エンスを守ってやれ」
「は?」
「いいから。な?」
「・・・・・・・・・・・・?」
 それだけ言ってゼロの前を歩く。
 エンスを守ってやれ。
 ゼロは彼が何を言ってるのか分からなかった。
 同じころ、エンスはノーマルスーツに着替えていた。
 ヘルメットを手に更衣室を出る。
 そこでシセリアとリエーナに落ち合った。
 軽く頭を下げるエンス。
 そんなエンスにシセリアはどこか引っかかるものを感じていた。
「・・・・・・・・どうしたのかしらね、彼女」
「・・・・・え?」
「なんか変よ。今日のエンス」
 リエーナが考えるが見当が付かない。
 シセリアは小さくなっていくエンスを後姿を見た。
 どこか哀愁の漂う背中。
 手早く着替えて、エンスに訊ねた。
「え? や・・・・・やですよ。変じゃないですよ」
「ウソでしょ」
「うう・・・・・」
 エンスはがっくりとうなだれるのを見てシセリアは確信した。
 やはり変だ、と。
 リエーナが「話してごらん」と言って、初めてエンスは心の内を話し始めた。
「いつまで・・・・・・・こんな事が続くんでしょうか?」
「こんな事って・・・・・・・戦争?」
「はい。地球軍の最後の砦だったパナマも、もう落ちました。これで地球の大半はこちらの物になったんですが・・・・戦争が終結して、もし相手が勝ったら・・・・・、占領した基地をめぐってまた大きな戦いがあるんじゃないかって思うと・・・」
 繰り返し。
 それはシセリアたちの心に深く残った。
 地面に根を張る木のように。
 いつの間にかエンスは泣いていた。
 何故だろう。
 エンスの心のうちを聞いていると自然とやるせない気持ちがわいてくる。
 自分達はただ、ナチュラルとコーディネイターの共存を願い、それを分かってもらいたいだけなのに。
 何時から狂ったのだろう、歯車は。
 ふと、脳裏にあの男の顔がよぎる。
 ハイウェル。
 あの男が総帥と言う地位についてからネオ・ジェレイドは狂ったのかもしれない。
 だが彼女達はもう後戻りできないところまで来てしまった。
 進むしかない。
 エンスは優しすぎる。
 戦う者とは思えないくらいに。
 後世に必要なのは革命家でも、支配者でもない。
 心の優しい者が、必要なのではないだろうか。
 そんなエンスを連れてシセリア達は格納庫へ向かった。
 シセリア達の機体がばっちり整備されている横で、なぜかハイウェルのセクエンスも整備を受けていた。
 その辺にいた整備士を捕まえて訳を聞く。
「いかなる時でも万全を期したい言っていわれてさ」
 それを聞いたシセリアの目の色が変わった。
 何を考えているのかまったく読めない。
 彼は本当にこれからの世界で必要なのだろうか。

 結局敵が攻めてこないで二日が過ぎた。
 ファイナリィのエネルギー充填ももう少しで完了すると言ったところ。
 もう少し。
 もう少しなのだ。
 もし神がこの世界にいるとしたら非情だ。
 索敵に出ていたエメリアから通信が入った。
 ワイバーンの機影を見つけたと。
 皆の気が引き締まる。
 MSに乗り込むパイロット達。
 ちなみにイルミナは直りきっていないため、フエンは出撃できない。
 ボロボロの機体で攻防戦に出たのだ。
更に損傷は広がっていた。
 ディフェニスが出撃する。
 青空にMSが投げ出され、空を飛べるMSは空中戦を。
 飛べないMSは甲板で敵の迎撃。
 ファイナリィは動けないため、迎撃は全てMS隊で行わなければならない。
 MSが出撃してから数分、ワイバーンの姿を各MSが捕らえた。
 向こうもこちらを捉えたのだろう、MSが出撃してくる。
 敵はいつもの五機以外にレイスやリュミアーを多数投入してきた。
 今回彼らは本気で落とすつもりで来ている。
 キラのフリーダムとアスランのイージスセカンドにラグナのジャスティス・ブルーナイト、デュライドのヴァイオレント、エメリアのストライクブルーが空を走る。
 アストのディグニティとディーアのバスターダガーは甲板から敵を打ち落とす。
 フリーダムは無類の強さで敵機を落としていく。
 そんなフリーダムにライブラリに無いMSが攻撃を仕掛けた。
 見た感じミカエルと似ているその機体。
 新型機、カルマはビームソード「ヴァンティア」でフリーダムを付けねらう。
 と、フリーダムの「バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」が火を噴き、カルマに突き進む。
 命中する直前、ビームが不自然に反れた。
 それを見て思い当たるものがあった。
 ゲシュマイディッヒ・パンツァーの存在をキラは思い出した。
 ビームが使えないのなら、接近するのみ。
 ラケルタ・ビームサーベルを抜いた。
 またもカルマはヴァンティアで防ぐ。
 そんな攻防が続いていた時、ヴァイオレントの前にもやはり見慣れぬMSが立ちはだかった。
 そのMS、フォースは腕に装備した「ツインビームライフル」を放った。
 全身のスラスターを噴かして、突撃。
 手にはビームサーベルが握られている。
「ちぃっ!」
 デュライドはペダルを思いっきり踏んだ。
 背中のスラスターが稼動し、機体を無理やりフォースより遠ざけた。
 そんなヴァイオレント目掛けてフォースは肩のレールガン「シュヴァイヴァー」を放った。
 その弾速の速さにデュライドは驚きまともに喰らった。
 コクピットが激しく揺さぶられ、デュライドの目がかすむ。
 今の衝撃で軽い脳震盪になったようだ。
 動かないヴァイオレントにフォースが迫る。
 が、二機の間にビームが割ってはいる。
 ストライクブルーのビームライフルだ。
 エメリアは目の前の敵を見据えた。
 その動きからパイロットはストナーのパイロットと同じ。
 ストライクブルーが9.1メートル特殊合金製対艦刀を抜く。
 素早く懐にもぐると下段から対艦刀を振り上げた。
 致命傷にはならなかったものの、フォースのボディに傷が付く。
 それに腹を立てたのかフォースが走り、ストライクブルーを一蹴する。
 これで良い。
 エメリアには狙いがあった。
 敵が咳き込んでこちらに猛攻する時、必ず隙が生じる。
 そこを狙えば。
 ストライクブルーとフォースでは機体にかなりの差が生じている。
 その差を補えるのはパイロットの腕。
 エメリアの手に自然と力が加わる。
 
 ロイドのディフェニスはオルフェウスと青いベルゼブを、ラグナのジャスティス・ブルーナイトはドレッドノートと戦っている。
 ロイドはなるべくなら目の前の敵と戦いたくなかった。
 目の前にいるのはネオ・ジェレイドでもトップクラスの腕を持つシセリア・アーリクロフトと青いベルゼブのパイロットは機体の動きからしてグリーテス・トーラ。
 どちらも自分には馴染み深い人間。
 ディフェニスのダブルフェイスがオルフェウスの大型専用ブレードと重なる。
 つばぜり合いになるが背後からベルゼブに撃たれ、バランスを崩した。
 やはり二対一、加えて相手がトップクラスの力を持つ者達ならば苦戦する。 
「どうして・・・・・・」
 ロイドがつぶやく。
「もうやめろぉぉぉっ!!」
 ダブルフェイスが唸り、グリーテスの乗るベルゼブ左腕を吹き飛ばす。
 グリーテスは驚愕してディフェニスを見た。
 周りで空気が張り詰める。
「もう止めるんだ、シセリア、グリーテス! 俺は、戦いたくない!」
『それは無理です。ロイドさん。私達は敵同士。戦わなければなりません』
 シセリアの返答にロイドは落胆した。
 自分がもう少ししっかりしていればネオ・ジェレイドの総帥を止めずにすんだ。
 そして戦局がここまで酷くなる事はなかったはずだ。
 戦いたくないと言うその思いは逃げるための言い訳かもしれない。
 でも、本心には変わりない。
 そんな事態に陥っている中、ラグナは苦戦していた。
 相手のMS、ドレッドノートはジャスティス、フリーダムなどZGMF−X系統のMSの元となった機体だけあってそのスペックが高い。
 それにパイロットもなかなか腕の立つものなので機体の性能が十二分に発揮されている。
 ドレッドノートのクラトス・ビームライフルを避けるが、敵の動きが速く次々攻撃が雨のように降る。
 ジャスティス・ブルーナイトのセイバーが火を噴く。
 しかしそれさえもドレッドノートの前には避けられてしまう。
 眼前にドレットノートが迫る。
 そこへ。
 巨大なビームがドレッドノートを掠める。
「!?」
『大丈夫か!』
「アスラン・・・・・・・ザラ?」
 イージスセカンドのスキュラだ。
 MS形態に変形し、ドレッドノートの前に立つ。
 ラグナは自分の憎むコーディネイターに助けられた事を酷く悔やんだ。
 が、それを言っている暇など無い。
 目の前には強い敵がいるから。
 イージスセカンドとジャスティス・ブルーナイトの二機で迫る。
『ああ、それと』
 アスランからの通信。
『ジャスティスは遠距離系の攻撃はあまり得意ではない。やるなら中距離か近接だ!』
 通信相手はコーディネイターだというのに、ラグナの口元が緩む。
 自分の家族を殺した、同胞のコーディネイターだと言うのに。

 ブリッジでサユがリィルが、戦況を見ていた。
 ファイナリィが稼動していない今、MSのエネルギー供給ができない状態にある。
 このままではエネルギー切れで全滅しかねない。
 リエンは立ち上がった。
「ファイナリィ起動・・・・! 全MSに帰艦命令! これより大気圏脱出を図る!」
「リエン・・・・!? 何を!」
「このままではMSのエネルギーが持たない! 宇宙へ行くしかないんだ!」
 少しの間をおいて、MSに帰艦命令が出された。
 それを了承してMSがファイナリィに戻ってくる。
 ファイナリィが起動し、海面より離水する。
 リエンから艦内放送が入った。
『これよりファイナリィは大気圏脱出を試みる。そのため全エネルギーと電力をスラスターに送るため一時的に停電になる。しかし臆することなく対処して欲しい! 健闘を祈る!』
 ファイナリィが徐々に宙に浮き、その高度を高めていく。
 それに気づいた敵MSがファイナリィに向かってライフルやビーム砲を撃つ。
 ビームが気体を掠める。
 スラスターがものすごい勢いで噴かされ、ファイナリィの機体が上昇する。
 しかし後方からは敵のビームが。
「25から28番まで、隔壁閉鎖!」
「く・・・・・・・・もってくれよ、ファイナリィ!!」
 ヴァイスが報告する。
「大気圏離脱まで、残り2分!」
 ファイナリィの各部がビームにより焦げる。
 敵MSの攻撃が緩み始めた。
 既にMSが到達するのに限界高度まで来ている。
 これ以上は現存のMSの推進力では不可能。
「大気圏離脱まで残り30秒!」
 艦内に振動が走る。
 熱が生じ、艦内の温度が上昇する。
「大気圏、離脱しました!」
「よし、推力最大! 月へ向かうぞ!!」
 今のファイナリィの推力で月までは一時間弱で辿り着いた。
 すぐに修理を受けるファイナリィ。
 修理の間、クルーはノースブレイド基地内での自由行動を許された。
 フエンは久しぶりのノースブレイド基地と言う事でサユと一緒に懐かしい面々と会っていた。
 もみくちゃにされるフエン。
 サユが先にどこかへ行き、遅れてフエンも後を追ったが既にサユの姿は無い。
 基地内をうろつくフエンは廊下で人とぶつかってしまった。
 自分と同い年の少年二人と少女が一人。
「あ、すいません」
「ああ」
「・・・・・・・あ。君達も軍人なの?」
「まぁな」
 気さくに話しかけるフエンに、ぶつかった相手も気さくに話す。
「あ、俺はフエンです。フエン・ミシマ」
「スティング・オークレーだ。こいつはアウル・ニーダ。で、そっちの女は・・・・」
「・・・・・・ステラ。ステラ・ルーシェ」
 ステラが静かな声でしゃべった。
 フエンは思わず見とれてしまった。
「何、お前。ステラに気でもあんのかよ」
 アウルがフエンにおどけて茶化す。
 フエンはあわてて否定した。
 スティングが腕時計を見て「おい」と小声で言う。
 どうやら何か用でもあるらしい。
 じゃあなと、言い残して三人はどこかへ行ってしまった。
 なんだか不思議は人たちだった。
 フエンはそう思った時、ファイナリィクルー及びMSパイロットはブリーフィングルームへ集まるように言われた。
 ブリーフィングルームにはリエン達クルーと地球軍の上層部がいた。
 あからさまにリエンは嫌悪の色を浮かべている。
「ご苦労だったな、ファイナリィ小隊の諸君」
 取り繕ったように士官が言う。
 台本でも読んでいるような、そんな喋り方がリエンは気に入らなかった。
 士官の話は延々と続いたが、その中で不可解な言葉を発した。
「ではファイナリィ小隊の諸君はゆっくり休むと良い。おい、部屋へ案内しろ」
「ちょっと待てよ。俺達がどうして休まなくてはならない? 艦の整備や色々やらなくてはならないのに」
 リエンが食って掛かるが、士官は落ち着いた様子でそれを払う。
「こちらは貴官等の体調を気遣っているのだ。ゆっくりと休め」
 士官の言葉が終わると、端にいた他の男が口を開いた。
 軍服を着ていないので地球軍の者ではないという事が一目瞭然なのだが、その雰囲気はおかしい。
「まぁ、こちらが休めといっているのだ。その気持ちは受け取ってもらいたいものだ」
「あんた、誰だよ。軍服着てないから軍のものじゃないし」
「失礼。私はロード・ジブリールという物だ」
 ジブリールと聞いて反応したものが一人いた。
 エメリアだ。
 大戦時にブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルが死亡し、後任に就いたのがこのジブリールという男。
 だとしたら、地球軍の上層部は再び―――――――。
 ファイナリィのクルーは兵士に連れられて待機部屋に着いた。
 そして扉を閉められ、自由を奪われた。
 とりあえずソファーに座る。
「くそ! これでは呈の良い監禁じゃないか!」
「確かに、何時出れるかも言われてないし、もしかしたら二度と出られないかもな」
 デュライドの冷静な声だけが響く。
 そこへエメリアの声が続く。
「それにあのジブリールという男・・・・・ブルーコスモスよ」
 一同が固まる。
「以前、色々な情報を集めていた時に知ったのよ。アズラエルの後任としてブルーコスモス盟主の任に就いた男って事で」
「じゃあ、上層部は・・・・・・・・・まだブルーコスモスに?」
「その可能性はあるわ」
 ここで一つ問題が浮上した。
 何故フエン達をこの様な形で押し込めたのか。
 そこが分からない。
 そのジブリールはファイナリィのブリッジにいた。
「ほう、これはこれは」
「MSの方も全てそろっています。
 ジブリールが何故フエン達に監禁のような形をとったのか。
 彼自身がこのファイナリィの指揮をとり、ネオ・ジェレイドを殲滅させるため。
 フエン達正規のファイナリィクルーはいずれも優秀だがあくが強い。
 いつ自分達の指令を裏切るか分からない。
 そうなる前に封じ込めてしまえば怖くない。
 所詮やつらはパイロット。
 MSが無ければどうする事もできない。
「以後このファイナリィを旗艦とする。そしてネオ・ジェレイドをたたく!」
 ジブリールの目には狂気の光が満ちている。
 高らかに「青き清浄なる世界のために!」と叫んだ。



 (第二十四章  終)



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