Prologue 最後の力
C.E73。
未曾有の大惨劇「ブレイク・ザ・ワールド」より派生した地球連合軍とプラントの戦い。
それはやがて、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルによる「ロゴス打倒宣言」により、その戦局は変わっていった。
地球連合軍対プラントと言う構図はいつしか、ロゴス対デュランダルと言う構図へと変化していた。
が、その後地球軍が発射した「レクイエム」により、プラントに甚大なる被害がもたらされた。
デュランダルはこれに対し、ザフト軍ミネルバ隊をレクイエムの設置してある月の裏側へと向わせる。
ミネルバ隊の3機のMS、デスティニー、レジェンド、インパルスの活躍によりレクイエムは破壊され、放棄されたかのように見えたが。
デュランダルはそれを極秘裏に手に入れ、月の裏側よりレクイエムを照射。
狙いは、地球軍アルザッヘル基地。
デュランダルの行動に異を唱えたオーブはその自国の理念に共感を覚えた同士を引き連れ、再び放たれようとしていたレクイエムの偏光ステーションを破壊。
デュランダルはオーブ軍に対し、移動要塞メサイアを起動させ、迎え撃つ。
構図がデュランダル対オーブとなった瞬間であった。
オーブの将校、キラ・ヤマトの駆るストライクフリーダムが。
アスラン・ザラの駆るインフィニットジャスティスが。
そして元・地球軍ファントムペイン隊長、ネオ・ロアノーク―ムウ・ラ・フラガの駆るアカツキが。
ザフト軍最強のパイロットといわれているシン・アスカと、大切な想い人と妹が自らの元を離れた事に疑念を抱いていたルナマリア・ホーク、自らをクローンだと告白したレイ・ザ・バレルの前に立ちはだかる。
デスティニーはインフィニットジャスティスに倒され、レジェンドはストライクフリーダムによって破壊。
キラ・ヤマトは単身、メサイアに乗り込みデュランダルと対峙する。
そこで彼は叫んだ。
戦う覚悟がある、と。
直後、デュランダルは銃弾に倒れた。
レイの放った銃弾によって。
キラ・ヤマトが脱出後、メサイアは爆発。
デュランダルも共に散っていった。
***
時にC.E74。
オーブとプラントの間に停戦協定が敷かれた。
それから数ヶ月。
4月30日の事。
この日、血のバレンタイン、ブレイク・ザ・ワールド以来の惨劇が巻き起こった。
二週間の悲劇。
その幕開けは、すぐそこに。
***
「天空」と言う意味を持つ少女と、「天空」の名を持つMS。
「自由」の名を持つMSに乗る、人類の罪の果てに生まれた少年。
たった二週間の、戦いが始まろうとしていた。