閑話 ファイナリィ、食堂の乱

 注意:この話は第九章「歴史は繰り返された」の1シーン食堂の場面を「もしも」として再編成したものです。
     あの時腕相撲大会が行われていたらどうなるかと言う事をコンセプトにおいた話となっていますので、本編が大きく左右される事はありません。

 L2コロニー、ディザイアへ向かうためファイナリィは漆黒の宇宙を進んでいた。
 フエン達MSパイロットは食堂に集まっていた。
 食堂に集まる前に地球でネオ・ジェレイドのMSが現れたとの報告を受け、皆黙っている。
 そんな時、エイスがおずおずと手を上げた。
「あ・・・・あのう、何かゲームでもしませんか?」
「ゲームねぇ・・・・」
 こう言うお祭り騒ぎ事が大好きなヴェルドは考えている。
 何を提案する気なのだろうか。
「じゃあ、腕相撲なんかどうだ? 簡単に出来てそんなに時間も要らない」
 まあそれから先意見が出るかどうかわからないということで、ヴェルドの腕相撲大会をすることに決定した。
 ルールは簡単。
 二人一組になり勝ったほうは本選に進出。
 負けた方は何も無し。
 優勝しても何も無いのでやるだけ無駄なのだが・・・・。
「アスラン、負けないよ」
「俺もだ」
「手加減無しだぞ、フエン」
「分かってますって」
 並々ならぬ気合の入りよう。
そこまでするほどなのだろうか。
 で。
「うっしゃーーーーー!!」
「あうう・・・ヴェルドさんに負けました」
「ま、本選は任せろ、キラ」
「うん」
 本選に残ったのはアスラン、ラグナ、ヴェルド、フエン、デュライドの男五人。
 カガリはラグナといい勝負をしていたものの、最後の最後で押しが弱かったらしく惜敗した。
 本選は総当りで勝った回数が多い者が優勝というルール。
 連戦になる危険性もあるので、スタミナのある者が有利と言える。
 早速始まった本選。
 食堂には噂が噂を呼び、他のクルーが集まっていた。
 そのメンバーの中にはリエンやミリア、サユの姿もある。
 初戦はフエンとデュライドの先輩後輩対決。
「それでは・・・・・はじめっ!」
 特別審判のヴァイスが叫ぶ。
 両者が一気に力を加える。
 見たところ五分と五分といったところ。
「やるじゃないか・・・・・・フエン」
「デュライドさんも・・・・流石です」
 両者一歩もひかずに耐えている。
 実に長い事膠着状態が続いているが。
「フエー−−−ン、がんばれーーー!」
「なっ・・・・」
「もらったぁぁぁぁぁ!!」
 フエンの腕がテーブルについた。
 応援したのはサユだ。
 その声に気をとられ、フエンは初戦を黒星で飾ってしまった。
 怒りたいが怒れず、フエンは二回戦にかけることにした。
 次の試合はアスラン対ラグナ。
 年齢でも力でもラグナのほうが上だ。
 しかしアスランも油断は出来ない力を持つ。
 そう、「あの」力を。
「はじめ!」
 始まると同時にアスランは勝負を仕掛けた。
 全体重をかけ、ラグナの腕をテーブルにつけようとする。
 だが、ラグナのほうが力では勝っている。
 このままではアスランが負けてしまう。
 その刹那、アスランの中で何かが弾けた。
 それと同時に物凄い勢いでてーブルに叩きつけられるラグナの腕。
「ちょっと待てーー!! 何だ今のは! あれってありなのか!?」
 審判であるヴァイスに詰め寄るラグナ。
 特別ルールが設けられていないとは言え、SEED発動は反則技である。
 そういうことでアスランは反則負けとなってしまった。
 
 それからも白熱した試合が続いた。
 中でもヴェルド対フエンは近年稀に見る名勝負となった。
 しかし名勝負があれば逆に迷勝負もある。
 それはデュライドとラグナの試合。
「はじめ!」
 始めの合図がかかった。
 が、両者共に力を入れているそぶりは無い。
 どうしたのか。
周りのクルーがざわめく。
「どうしたんだ、二人とも」
「いや・・・・・」
 デュライドが言う。
「だるいなって」
「いいからやれよっ!!」
 渋々勝負を決め、勝ったのはデュライドだった。
 その後の勝負は、まあ普通の腕相撲大会となり本選が終了。
 優勝したのはデュライドだった。
 僅差でヴェルドが二位。
 これで無事終わったかに見えたが。
「待て待て、俺がいるだろう」
 そう言ったのは艦長であるリエン。
 普段から突発的なことを言う人だが、まさかここまでのものとは。
 デュライドが燻し気にリエンを見る。
「リエン大佐はMSパイロットじゃないだろう。参加資格は無いはずだが・・・・」
「いや、そうとも限らないぜ」
 言うのはヴェルド。
「リエンは昔、カラーズの一員でMSパイロットだったんだ。ナチュラルながらも高い射撃能力でこちらとしてはかなり助かっていたんだ」
「でも、「元」だろ、それは」
 しかしリエン本人は聞く耳もたずに臨戦態勢に入っている。
 デュライドはさっさと終わらせて寝たかった。
 二人が手を組む。
「それでは・・・・・はじめっ!!」
「ウラァッ!!」
 勝負は一瞬だった。
 デュライドの腕がテーブルについている。
 辺りは唖然となり、空気が静まり返る。
「しょ・・・勝者リエン大佐」
「やったーーー! 勝ったーーー! あーーーーはっはっはーーーー!」
「何・・・・今の?」
 エメリアが呟く。
 おそらくここにいる者全員がそう思っているだろう。
 異常なまでの早さ、異常なまでの腕力。
 本当にリエンはナチュラルなのだろうか。
 そんな謎を残し、リエンは満足そうに食堂を去った。

 その後、ネオ・ジェレイドの艦隊と接触。
 戦闘に入り、見事フエン達は勝利した。
 



 (閑話  終)


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