第18話 剣の舞う戦場
向かってきた…!
ストライクダガーのパイロットの1人であるロイ・アンダーソンは、眼前のシグーが重斬刀を手にこちらに向かってきたことに少なからず驚きを感じていた。
ここまで包囲され、完全に不利な状況に置かれてもなお、この黒と白のシグーのパイロットは攻めこんで来るとは!
ロイはビームサーベルを抜き、シグーと接近戦を挑もうとした。
だが。
『ロイ〜! やめろ〜! 隊長が〜言ったことを忘れたのか〜!?』
同僚のテイラーの叫び声がスピーカー越しに聞こえてきた。
(…! ちっ、うるせえな…あのデブめ)
無論忘れてなどいない。
ギドーは、ブリーフィングでロイ達ダガー組はひたすらシグー又はジンの足止めに徹しろ、と命じていた。
ギドーとリジョンが、レジスタンスの強敵であるディン、ゲイツ、そして「デコッパチ」と呼称されている青いMSを相手にし、未知の特殊兵装を持ったシグーの弱点をダガー隊で調べるためだ。
ジンは真正面から当たればそれほどの脅威で無いと判断したのか、一応は警戒を怠らず、見つけ次第、ダガー組から機に応じて2機がシグーから離れ、迎撃せよ、という簡単なものだった。
だが、反骨心の強いこの男は、ブリーフィングルームで《凶獣》の下した命令に対して1人、憤慨していた。
(なんだそりゃあ…。気に入らねえ。 こんなつまらない戦い方をさせやがって。これじゃあ暴れられないだろうが!…あの野郎は俺達のことを鼻垂らしたガキか何かと勘違いしているんじゃねえのか?ブーステッドマンだとかいう、本当のガキにはやたら優遇しやがって。ロリコンか?あいつはよ…!)
気に入らない他人は見下し、常に自分を正当化する。嫌いな人間には平気で根拠の無い悪評を言いふらし、自分の心の安定を保つ。ロイが腹を立てた時の定番の思考パターンだ。
そうだ。自分は間違っていない。
……戦ってやる…!
結局、ロイはビームサーベルを抜き、シグーに切り掛かった。
ビームサーベルを受け止める手段を持たないシグーは、素早くロイ機の右側に回りこみそれを躱し、そのままロイ機の後に回りこもうとしてくる。
面倒な動きだ。
およそ全ての機体に言えることだろうが、MSというものは後からの攻撃には決して強くは無い。
後向きで戦闘などすることな想定されていないのだから、装甲自体が前面に比べそれほど強固になっていないのだ。
このシグーはMS共通の弱点に攻撃を加えようとしているのだ。
(くそっ…たれが)
ロイは機体を翻し、シグーと真正面に向き合った。
基地のアルナにガウルから通信が来たのは、ガウルが重突撃機関銃をテイラー機に向けて構え、今正に突撃する間際のことだった。
『ガウルです。アルナさん、私を基軸とした半径300m以内の状況を纏めた擬似簡易マップの作成、できますか?』
聞き慣れない単語にアルナは一瞬面食らったが、
「えっ…と、…はい、やってみます」
と答えた。
擬似簡易マップとは、アマゾンにあらかじめ仕掛けられた監視カメラ、集音マイク、熱源探知装置、《アイズシステム》によって送られる画像、地形データ、その他もろもろの情報からシュミレートされた周囲の状況を2次元的なマップでリアルタイムで表現したものだ。
3Dシューティングゲームの全体マップのようなものだと思えば、当たらずとも遠からずである。
この簡易マップはシュミレートのものとは言え精度は非常に高く、これに依存して戦っても問題は無い。
(うう…難しいなあ…)
ただ、これの作成は相当骨が折れる作業だ。
1分1秒を争う戦闘を行っている友軍の位置が何処にいるかをマップで特定し、できるだけ短時間に膨大な情報をマップ作成アプリケーションにリンクさせ、断続的に更新される情報を木々に偽装された中継鉄塔を経由させて送信し続ける。
CICのコンピュータに慣れていないととてもできない作業だ。
ドマンやCICの先輩達にしごかれて一通りの作業はできるアルナだが、実戦でやるのは初めてだ。
緊張で喉が渇いてくる。しかし、やらなければならない。
覚悟を決めるかのような大きなため息を一つ付き、アルナはコンピュータを操作し始めた。
アルナの努力の甲斐あり、ガウルがダガーと戦闘を開始してから間もなく、マップは届いた。
(よし、これで…)
敵の正確な配置がわかれば、一人でもなんとかなる。密林のおかげで向こうは視界が悪いが、こちらには筒抜けなのだ。
戦い方を選べば、どうとでもなる。
ストライクダガーのコクピット内でテイラーは、同僚の先走った行動をどのようにカバーするか黙考していた。
後に控えている4機の協力を仰ごうかと考えたが、目前のシグーの動きを見てそれはやってはいけないと確信した。
敵は、自分やこちらの後方のMSの配置を知っているかのように、自分達のMSの死角にロイ機を追い詰めている。元々この辺り一帯は向こうのホームグラウンドだ。恐らく巧妙に隠された監視カメラか何かでバレているのだろう。
そのカメラ画像等を元に、後続の敵機がどの位置にいるかを確認。さらに障害物の場所を考慮し、敵機から自分が見えない”死角”を見つける。その死角にロイ機を追いやりながら戦えば、少なくとも後の敵機とは交戦しなくて済む…そんなところだ。
決して捨て身の攻撃では無い、緻密な作戦。あのシグーは、本気でロイを倒し、不利な状況を打開しようとしているのだ。
ならば、後の4機は絶対に近づけられない。
なぜならこちらが敵機のシグーに攻撃できる範囲まで近づけば、向こうは確実に例の特殊能力を使ってくるはずだから。
そうなれば、未だ対抗策を持たない我々は相当な損害を被るのはまず間違い無い。
こちらが動いて良いとすれば、シグーのパイロットが自暴自棄になって向こう見ずな戦いを挑んでいると確信を持てる時、すなわち――無策と判断出来た時だけだ。
敵の誘いに乗ってはいけない。もっとよく観察しなければ。
…この冷静、かつ鋭い観察力がテイラーが今まで生き延びてこられた最も大きな要因であり、実りある報告書を書ける理由でもあった。
現時点でロイの失態をカバーする最も最前な方法……。
それは実にシンプルな答えだったが、テイラーはその結論に消極的だった。
「う〜〜…隊長に怒られそうだ〜…」
自分があのシグーに近接戦闘ができる距離まで近づいて援護する。それが恐らく最善の方法。
ギドーの命令に逆らうことになるが、状況が状況だ。仕方が無い。
「まったく〜…ロイには何か奢ってもらわないと割りにあわないな」
ぶつぶつと不平を言いながらも、テイラーの乗るダガーはビームサーベルを手に取った。
その直後だった。
突如、上空から、レールガンから撃ち出された弾丸がテイラー機の周辺に着弾した。
「な…!?」
テイラーが上を見上げるとそこには…
朝の日差しを背に受けたディンが、レールガンの銃口をテイラーに向けていた…。
陸空を縦横無尽に駆け回り、お互いが自身の技能を遺憾無く発揮し、狡猾に相手の弱点を探し出し、攻めこむダガーとM1の戦闘は、MS訓練生に戦技のなんたるかを教えるにあたってこれ以上無いであろう素晴らしい模範となり得るものだった。
元々ギドーとクリフでは、近接戦闘のスキルに限っては圧倒的にクリフの方が優れている。
クリフのM1が手にする長剣が示す通り、彼は近接戦闘での剣技においてMSパイロット史上でも屈指の腕前を持つパイロットなのである。
個々の動作が全てその後の止めへの布石となるような緻密で有機的な捉えどころの無い洗練された剣技、流暢なリズムを決して乱さず、しかし突発的に、華麗に相手を攻めこむ反撃の機会を与えない攻撃は、旋風という形容がいかに的を得ているかがよくわかる。
対してギドーの場合、格闘スキル自体は、実は数多の平均的なMSパイロットと比べても、技術的には大差が無い。彼がビームサーベルを使う時は突進からの突きか大振りの薙ぎか斬りが殆どである。
だからギドーは、近接戦闘でも、ビームサーベルに頼った戦い方はあまりしない。巧妙に間合いをとってビームライフルを併用したり、シールドを用い、ここぞという時にはタックルすらも決めこむ。
むしろギドーは、一瞬の交わりで勝負を決める、一撃必殺を得意としている。
ビームサーベルの切っ先のただ一点に全力を込めた突進や、コクピットを正確に狙ったビームライフルの一撃などである。
あたかも賢い獣が牙の一撃をもって獲物を仕留めるかのように。
それがギドー・エスコルドの真骨頂なのだ。
その一撃必殺を確実に撃ちこむ機会をじっくりと見定め、万が一外したとしても、できるだけ反撃を食らわずに次の攻撃体勢に素早く移れるように動く、それがギドーの戦闘スタイルだ。
故に、ギドーは個々の才能で突出したものは持たなくとも、一撃必殺を当てる隙を作るために増やした手数の豊富さと、その一撃を決めこむタイミングを見極める過敏な嗅覚、そして戦闘時の異常な興奮状態、いわゆる「切れた」時の禍禍しい闘争心を持って相対することで、戦地を生き延び、数多の敵を撃退し、気付けば《凶獣》などと呼ばれ畏怖されるようになってきたのだ。
互いを捕捉しながら密林の合間を駆け巡るギドーのダガーとクリフのM1が、同時に相手に向かって飛び出し、組み合う。
M1はダガーのビームサーベルの一撃を長剣で受け流し、返しの一撃を叩きこもうとコクピットへの突きを繰り出す。
だがギドーは超人的な勘と反射神経でそれを読み、咄嗟に間合いを外し、反撃への動作に繋げようとする。
『フッ…、まだまだぁ!』
それを見越したクリフは、更に追い討ちをかけるように矢継ぎ早に攻め込んだ。
急接近し、薙ぎ払う。ダガーの装甲表面を切り裂く。
薙いだ勢いで一回転し、ダガーの肩口から切り下ろそうとする。
「ハァ!甘いんだよ!」
が、突如剣の軌道上に現れたダガーのシールドに弾かれ、M1は踏鞴を踏む。
その隙を突いてダガーがビームサーベルの切っ先を向け、突進してくる。
クリフはM1の身を仰け反るように捻ってその一撃を躱したが、突進の勢いで向こうへ駆けぬけたはずのダガーが、その身を翻し、スラスターの推力でM1から離れながらもビームライフルで狙いを定めている。
発砲。更にもう一発。
無理な回避をしたせいで姿勢が不安定だったM1は、逆らわずに地面に倒れ、伏せることでビームの射線からその身を外した。
素早く姿勢を回復させ、長剣を構えなおすと、既にダガーがビームサーベルを振りかざし、こちらに再度突進してきた。
クリフもダガーに向け、加速した。
2機のMSがぶつかり鍔迫り合う轟音がアマゾンにこだまする。
『流石は単身でジン4機を撃墜したエースパイロット…。やはり一筋縄ではいかない相手のようですな』
鍔迫り合いながらクリフはギドー機に通信を開いた。
勝つ自信は今でも変わらないが、倒し甲斐のある強敵には違いない、そう思えたからこその言葉だった。
「うるせえ黙れ!テメエはさっさと殺す!テメエの連れも殺す!ソウも俺が殺す!レジスタンスも!全員!俺がぁぁぁ!」
しかし完全に切れたギドーの頭には、最早誰の如何なる言葉も聞き入れられそうに無かった。
『やれやれ…その切れた状態の頭の馬鹿さ加減も相変わらず…ですか』
クリフの声色は呆れ果てたようだった。当然、ギドーにとっては面白くない。
「ハアアアァァ!?どいつもこいつも俺を馬鹿馬鹿と…ウ…ウガアアァァァァァア!!」
未だにリジョンの発言を根に持っているギドーは、今のクリフの一言で再びブチ切れた。
切り結んだ長剣をビームサーベルを強引に振るって弾き、ショルダータックルを敢行した。
『うぉ…!』
クリフのM1は咄嗟に自らの左腕を両機の間に割りこませ、機体をタックルの直撃から庇うことはできたが、MSの持つ莫大な運動エネルギーを押さえることまでは不可能だった。
後向きに吹き飛ばされるM1。ダガーは尚もM1に貼りつき、スラスターの勢いに任せて吹き飛ばしつづける。そのまま真っ直ぐこれを押し続けて向こうのそびえる大岩にこのMSを叩きつけるつもりだ。
とどめとばかりにスラスターの出力を最大に――しようとする直前で、ギドーのダガーは急にM1を突き飛ばし、M1から離れた。
直後、ギドーのコクピットのディスプレイに横向きの大きな亀裂が写し出される。
押され続けていたM1が、自由な右腕に持った剣をダガーの頭部に突き刺そうとしてきたのだ。
ギドーは直前にそれに勘づき、直ちにM1から離れようとしたが、バイザーにM1の剣の切っ先が当たったのだ。
それでもレンズにひびが入る程度で済んだのだが…。
ギドーがひるんだ隙にクリフは間合いを取って姿勢を建てなおす。長剣の鍔の辺りにあるトリガーを引いた。すると、柄の先端から熱気を帯びた空気が勢い良く吹き出された。
クリフの長剣の素材であるラミネート装甲はビームの熱を吸収することでビームサーベルとも交わることができるのだが、その吸収量にも限界があり、臨界点に近づいてくれば、こうして強制廃熱をしなければならなくなる。
「フッ…それだけ感情に身を任せても奇襲は通用しませんか…」
コクピットの中でクリフは、対峙する相手の変わらない勘の鋭さに一筋の脂汗を垂らした。
ギドーの異名、《三つ目の凶獣》の『凶獣』は前記した通りだ。
では『三つ目』とは何か。
にわかには信じがたいことだが、ギドーには何か「普通の人間には見えない何か」が見えているようなのだ。
と言っても別に幽霊が見えるとかいうオカルトな話ではない。ギドーは常人とはかけ離れた凄まじい勘を持っているのだ。
例えばある宇宙での戦闘で、ザフトとの戦闘中に艦のレーダー員さえ気付かなかったザフトの別働隊の存在にギドーただ1人が気付き、部隊壊滅の危機を救ったことがあった。
またギドーがMA部隊の小隊長として作戦を立案した時には、他の隊員には戦略的に意味があると思えない宙域に潜んでいた敵のスパイを奇襲し、その結果味方の損害を大幅に押さえることに成功した。
実のところ、最初、奇襲を得意としているルーグは作戦立案段階の時、既に存在を知っていたギドーという強敵を不意打ちを折り混ぜた奇襲によって倒そうと計画していたが、クリフが言ったギドーの並外れた勘を聞き、その作戦を取りやめ、クリフのみで相手をする方針に切り替えた…という経緯もあった程だ。
「誰にも見えない『危機』を捉える第三の眼」、それが『三つ目』の由来となった。
この男に小細工は通用しない。どちらの技術が優れているか、それだけが勝敗を決する…。
その凄まじい勘は、今尚全く衰えていない。それがクリフにはもちろん脅威であったが、それ以上に標的――自分が強者と認めるこの男が、まったく変わっていないということへの嬉しさが勝っていた。
(そうだ。私は小賢しい作戦を組み立ててちまちまと戦うような小物に成り下がったギドーと戦いたいわけではない…!
狡猾であり、直感に従い、断固とした強さを携えた『凶獣』でなければ!MSパイロットとして私が君に勝っていることを証明できない!
もっと…もっとあの強さを!思い出せ!)
クリフの腕は武者震いか、あるいは恐怖でなのか、小刻みに震えていたが、エクスタシーに駆られたクリフはそれを自覚できなかった。
アマゾン 上空
ルーグは、コクピットのディスプレイで縦横無尽に動き回るアルカナを見据え、攻撃の機会を窺っていた。
成る程、確かに彼は油断のならない相手だ。
17という若さにしては、彼は充分に優秀だ。
操縦のスキルも悪くない。自身のMSの特性を理解し、それに応じた戦闘というものをそれなりに理解している。
動作の一つ一つも、慎重だが、決して臆病ではない。
引くときは引くが、ここぞという時に攻めこむことを忘れていない。
油断や慢心など一切無く、ただ冷静に勝利の道を模索し、戦っていける。
もしかすると、何度か死線とか修羅場というものを経験しているのかもしれない。
だが、それだけだ。
彼には技術や知識はあっても、技術を技として昇華されきってなく、知識ばかりで絶対的に経験が不足している。
その場その場を凌ぐことは出来ても、戦いの流れを作ったり変えたりすることは出来ない。
結局、勝つのは俺達『黒蠍』だ。
四方からアルカナに向けられる火砲。
次々に襲いかかる重機関銃、ビーム砲、キャノン砲の砲火。
既に黒蠍のMSも自分と同じ高度から、巧妙な連携を取り合いながら自分に迫ってくる。
ソウは冷静に回避運動を試みる。
地上からバクゥのビーム砲、正面から四本足のジンのキャノン砲がアルカナに向け、発射される。
落ちついて上空へ回避。
だが、更に上空で両腕に機関銃を携えたジン・ハイマニューバがこちらに狙いを定めている。
豪雨のような銃撃がアルカナに降り注ぐ。
「くっ…!」
アルカナを勢いよくバレルロールさせ、間一髪でそのスコールに濡れること無く抜け出すが…
目の前に何時の間にか四本足のジンが、手にしていた錫丈の先端に、ハンマーのように脚部のバレルを取りつけ、それを振りかぶりながら突っ込んできた…!
「! あのバレルはそのための…!?」
だが、まだ大丈夫、あの速度なら余裕で躱せる…。
急降下で回避しようとレバーを引いた。
…………
だが、アルカナは動こうとしない。
「動かない…!?」
答えはすぐにわかった。
動けないのだ。
メタリックシルバーのジンの双鞭が、何時の間にかアルカナの両腕に巻きつき、身動きを取れ無いようにしていたのだ。
「しまった!」
今までの大仰な砲撃、銃撃は、双鞭のジンが忍び寄るための囮だった、それにソウが気付いた時は遅かった。
気付けば、ハンマーを持ったジンが、もう目の前まで迫っている。
そして、そのハンマーの射程内に入った瞬間……、最後の振りかぶりをソウは見た。
「さっ…っせるかあぁぁ!」
DISCシステムで、左腕に全パワーを注ぎ込む。
左腕のモーターが悲鳴を上げながらも、メタリックシルバーのジンを鞭ごと引っ張り、左腕を防御にかざすことができた。
元々、アルカナという機体自体のパワーは、余計な武器がないだけ『フリーダム』や『ジャスティス』よりも上なのだ。後先を考えなければ、ジンを片腕で振りまわす程度の力は搾り出せる。
だが、その左腕も焼け石に水でしかなかった。
振り落とされるハンマー。
左腕に直撃。
その瞬間、ハンマーの面が、突如破裂した。
ハンマーのエネルギーと破裂した勢いで、アルカナは地面に叩きつけられる。
左腕を粉々にされたまま。
地面に衝突する直前、ソウはおぼろげな意識のまま、いつか、イリュージョン社から脱走する時に聞いた”あの声”が、再び聞こえた、ような気がした。
(……情けない。もっと私を使いこなしてみろ……)
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